「平成の藝談」

犬丸治著 「平成の藝談」読み終わる。

 

『平成の世の終わりには、第2世代、第3世代が渾然一体となって歌舞伎を支え、新装なった歌舞伎座を支えていくはずだった…。

18代目勘三郎、10代目三津五郎、12代目團十郎が相次いで亡くなった。

團十郎は歌舞伎の神木であり、歌舞伎を大局的見地から眺めていくであろう人であった。

勘三郎は劇界の麒麟児として、三津五郎はもはや名人の域に達したその踊りで、先人の芸を第4世代(幸四郎、松緑、海老蔵、菊之助、勘九郎、七之助)らに受け継いでいく、いわば橋渡し役だった。

三津五郎自身が勘三郎の弔辞で述べた「肉体の芸術ってつらいね。そのすべてが消えちゃうんだもの。」』

あの頃のあの役者たちの逝去は本当に悲しく残念でした。

 

本文の7代目梅幸、2代目松緑……藝談を読んで、思い出にある舞台が恋しくなった。

こだわりの名舞台を若くて何も知らずに見ていました。

何だかとてももったいない。

 

7代目菊五郎サマは仮名手本忠臣蔵6段目の茣蓙を巻く段取りをにこだわってみたらしい。

「勘平の心理をリアクションで見せてもいいと思ったら、やりやすくなった。」

この勘平、著者の犬丸氏が劇評でも絶賛。

「…五体に熱湯…の懊悩など痛切である」

 

平成28年のこの国立劇場の舞台、私も見に行って、理屈は分からないのにとても惹き込まれた。

本を読んで、同じ舞台を改めて見に行きたくなった。

とても自然に勘平の悲劇を演じていたけど、緻密な演技への考察があったのね。

 

絵や彫刻なら、感動した作品をまた見に行くことができる。

舞台芸術はその刹那消えてしまう。

これから見る舞台、瞬間瞬間をいとおしみながら観劇することにしよう。

 

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「茶の湯事件簿」

大河ドラマの原作にもなった『天地人』の作者でもある人気歴史作家、火坂雅志の作品だけに、とても面白く一気読み。

覇王信長の名物狩り

松永弾正と平蜘蛛の釜

下剋上の茶人、今井宗久

天涯一人の茶人、荒木村重

博多の梟商、島井宗室

人生の達人、千宗旦

埋木の茶の湯、井伊直弼

……………………等々

 

桃山時代のノ貫(へちかん)は変人で、粥を炊いた釜を洗って茶の湯を沸かしたり、落とし穴を作って招いた利休を泥だらけにして風呂を提供する。「茶は楽しんで飲むのさ。道具に目を奪われては茶の深い味わいが判らぬ」

北野大茶会で、大きな朱傘を立てて茶を提供して周りをびっくりさせたのはノ貫が最初だそうです。

今は野点の朱傘はよく使われます。

 

権力者に近づきすぎて破滅した利休から学んで、淡々と極わびの道を進んだ孫の千宗旦。

「茶の湯は我が身の理を知りて分に相応するを本意とす。」

お金持ちは豪華に、地味好きは地味に。

色々あって良いのだ!

 

娯楽的な軽い作品だと侮って読んだら、中々深い。

出版社は淡交社。裏千家の月刊誌『なごみ』に連載していた作品らしい。

なるほど…。20190315_2796750.jpg


「鼓に生きる」

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歌舞伎囃子方、田中佐太郎さん著の「鼓に生きる」読み終わった。

昔々、彼女も私も少女だったころ「親子鼓」という番組を見て、田中流家元の父親から厳しい指導を受ける佐太郎さんの映像を見てショックを受けました。

同じ世代なのに、こんなに真剣に生きている女性がいる!

それから歌舞伎を見に行って、筋書きの囃子方の欄に佐太郎さんの名前を見つけると(あの黒御簾の中にいる♬)と耳をそばだてたものでした。

それからずいぶん経ってから「鼓の家」という番組で、佐太郎さんが3人の息子を育てながら鼓に向かっているのを知りました。

何しろぶーふーうーの母ですからね。

年の近い男の子3人を立派な鼓奏者に育て上げたことに感動と尊敬。

厳しい稽古が済んだ後、3人の息子たちを笑顔でぎゅっと抱きしめてあげるところがとても良かったです。

番組で佐太郎さんが言っていた事「ティーンがつかない12歳までが大事。」

なるほど13歳からティーンエイジャーです。

 

 

夫の亀井忠雄氏も能楽師葛野流太鼓方。

文中の二人の結婚前のエピソードは普通の恋人同士みたいで微笑ましい。

能楽堂の楽屋口で出待ちしている佐太郎さんが何とも可愛い。

忠雄氏は、見に来てくれなんて言ってないと言う。

佐太郎さんは、待っているように言ったのは忠雄氏だと言う。

見事な夫婦が互いを尊敬してそれぞれを大切にしているのは素晴らしい。

 

3人のご子息はみな素敵です。

長男広忠氏は父親忠雄氏の後を継いで、能楽師太鼓方葛野流家元。

次男は歌舞伎囃子方田中流家元田中傳左衛門氏、三男は歌舞伎囃子方傅次郎氏。

 

我が家の子豚たちと同様に三人の性格が違って面白い。

長男広忠氏は厳しい稽古でも絶対に泣かなかった。

次男傳左衛門氏は涙をぐっとこらえていた。

三男傳次郎氏は笑ってごまかす。

 

彼たちが開催した勉強とチャリティの公演『三響会』に何度か足を運びました。

能楽と歌舞伎の鳴り物が融合して、歌舞伎俳優や能楽、狂言の若手も協力する楽しい公演でした。

 

実感…お手伝いさんもおかずに年子の3人を育てて、鼓の修行や指導も継続している。

本当にスーパーウーマンだわ😲❣❣❣

恐れ入りました😖。

 

 

 


「日本人の肖像」

図書館に寄ったら予約してあった本がドサッと準備してあった。

困ったことに、やらなきゃならないことがあると開き直って本を読みたくなる。

でも、2週間で10冊、無理だよな…。

 

葉室麟の対談集『日本人の肖像』

「源平争乱」「女帝の世紀」「日本人と憲法」等々。

中でも「柳川藩 立花家」

柳川御花に宿泊したことがあります。

立花家が戦後お屋敷を料亭旅館にしました。

当時の女主人立花文子さんは生母が徳川慶喜の孫。

元気なお姫様文子さんは「何とかなるわよ」と明るく苦難の時代を乗り切りました。

 

戦国時代の名将立花宗茂のことを知らなかったのが残念です。20181230_2746650.jpg20181230_2746652.jpg20181230_2746654.jpg

残っていた春巻きの皮でサモサ風。

カレー味のポテトサラダを包んで揚げる。

友人と我が家で一杯。

燻りがっこタルタルソースにはまっています。


「時の名残り」

吉村昭に興味をもって、夫人の津村節子の随筆を読んでみた。

津村節子自身も芥川賞、女流文学賞など受賞した作家だけど、あまり読んでいないな。

吉村昭との思い出話もたっぷり。

 

どちらかというと夫君の吉村昭の作品のほうを読んでいる。

初めて読んだのは『ふぉん・しーぼるとの娘』

長崎に住んでいた時に地元の役場の図書室で借りた本。

長崎街道沿いの地名が出てきて楽しく読みました。

幕末の医師、高松凌雲を扱った『夜明けの雷鳴』

高松凌雲は大河ドラマ『獅子の時代』で菊五郎さまが演じた役。

五稜郭で敵味方なく兵士を治療したお医者さまで、かっこよかったんです(#^.^#)。

ドラマの後に小説を読むと、脳内で活躍するのは映像の姿。

ワクワクしながら読むのは邪道かなぁ。

 

蒸し暑いのでエアコンを除湿にしてひきこもり。

栗蒸羊羹で一服。

 

 


「おらおらでひとりいぐも」

 

雑然とした部屋で74歳の桃子さんは色々なことを考える。

16年間一緒に住んだ老犬が身罷ってから、柔毛突起があらわれた。

不思議な音が聞こえて、色々なことを思い出す。

大好きだった亡夫の事、妻として、母親としてちゃんと生きてきたこと。

でも自分とは何だろう。

脳内ではなぜか若い頃の岩手の方言で語る。

 

主人公の桃子さんはちょっと年上だけど、偶然にも去年見送った飼い犬の年齢も同じ。

部屋の散らかり具合にどきっとして部屋を見渡した。

(小説の文章ほどはひどくないよなあ…(-_-;))

地球46億年の歴史が大好きな桃子さん、過去と未来を考える。

おらはおらである。まだ戦える。まだ終わっていない。

白い雲、指のささくれ、なんだって意味がありありがたい。

 

漢字が少なく字も大きめ。

東北弁の響きは何となく懐かしい。

純文学は苦手で、芥川賞作品なんて…と敬遠していたけどほっこり勇気の出る作品でした。

見かけはくたびれたおばあちゃんでも、一生懸命生きて、青春があって、けっこう哲学的なことも考えているのだ。

 

 

 

 

 


「王城の護衛者」

司馬遼太郎『王城の護衛者』

 

 

松平容保、会津藩九世藩主、12歳で縁戚から養子に入る。

容姿が美しい少年で学問や軍学も見事に修めていたようだ。

 

会津には藩祖保科正之が遺した家訓がある。

「およそ正直をもって本とせよ」

「身に便利なことはよろしからず。窮屈なるを善しとする。」

「藩目的は、藩主の幸福のためではなく、藩の繁栄のためでもなく、ただ将軍家のため。」

 

家訓に縛られた会津藩は、尊攘浪士や薩長、土州藩過激派で荒れる京都守護職を火中の栗を拾うような心境で受けざるを得なかった。

禁裏内の公家も尊王攘夷で乱れており、孝明帝は、誠実な容保を愛し頼りにする。

当時28歳の容保は徳川宗家慶喜に翻弄され、一途に帝を守ろうとするのに、薩長に追い詰められて、賊軍、朝敵の汚名を浴びて会津藩もろとも滅びていく。

 

容保の晩年は殆ど人と交際せず終日ものも言わない日が多かった。

細い竹筒を離さず肌身につけていて、死後遺臣が開けてみると、孝明帝が送った宸翰(天皇の手紙)が入っていた。

「容保を信頼し、忠誠を喜び、無二の者と思う」
逆族の汚名を受けても何の抗弁もせず、ひそやかに余生を送った容保がなんとも痛ましい。

 

 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 

両親は福島県出身でした。

昔、司馬遼太郎好きの義父に「会津の人は立派だ、福島の人はすばらしい。」と言われて不思議に思ったことがあります。

娘時代は、飾らなすぎる実家の両親を「かっこ悪いなぁ」と思っていました。

会津の哀しい歴史を知ってから、福島県の人は素敵だと思うようになりました。

 

 

 

 


「孤鷹の天」

 

最近のマイブーム。

シーリングライトを消して、ダイニングテーブルの上のペンダントだけつけて、薄暗いリビングのカーペットに縫いぐるみを抱いて寝っ転がります。快感です。

 

落ち着いたところで、読みかけの小説「孤鷹の天」澤田瞳子作。

少女漫画みたいなカバー絵を裏切って633ページの大作。

大学寮で学ぶ青年たちが、安倍上皇と大炊帝、道鏡、恵美押勝らの政権争いに巻き込まれていく。

真面目な主人公の斐麻呂、悩みながら一生懸命生きる。

斐麻呂の主の勝気な少女、広子、貴族の姫なのに斐麻呂も驚く行動力。

なんとか奴婢の身から抜け出そうとするたくましい赤土。

赤土を応援してこっそり学問を教える大学寮の学徒たちが爽やか。

夢中で読んでいたら、AM2時でした。(=_=) 💤

 


「「司馬遼太郎」で学ぶ日本史(磯田道史)」

何だろう、この面白さ。

師走の気ぜわしさなんて全く気にならずに一気読み。

テレビの歴史番組でよく見かける磯田先生、単なる歴史マニアじゃない。

歴史を通して、過去じゃなくて未来を見ている。

 

司馬遼太郎、私も大好きなんだけど、意外と小説を読んでいない。

覚えているのは短編の「尻啖らえ孫市」くらい。

でも、「街道を行く」「この国のかたち」のシリーズはほとんど読んだ。

「竜馬がゆく」 「国盗り物語」 「坂の上の雲」「菜の花の沖」「花神」はテレビドラマで見た。

どれもとても良質のドラマだった。

................

 

信長はすべてが独創的だった。

秀吉はその性格が明るかったのも、美質だった。

家康は物の上手であっても独創的でなかった。

 

女性の好みについて

信長は美しいものであれば男でも女でも好んだ。

秀吉は高貴な女を求めた。

家康は「産む女」を好んだ。 (この国のかたち)

 

「花神」の大村益次郎、「竜馬がゆく」の坂本龍馬の人間的魅力。

討幕派は既存の国家を壊すことが先で、新国家の青写真を持っていた人物は坂本龍馬だけであった。

.........................

坂本龍馬、日本史の教科書から削られちゃうらしい。

残念です。

 

司馬史観なるものにとらわれてはいけないらしい。

でも歴史をちゃんと知って、これからに生かすことは大事だと思う。

 

 

 

 

 

 

 


「孤篷の人」

雨続きでひんやりしすぎる毎日。

『孤篷のひと』(葉室麟)読み終わる。

大名で茶人で有名な作庭家でもある小堀遠州の生涯を描いた作品。

それぞれの章に茶道具と歴史上の人たちの逸話。

【白炭】

「茶の道を学ぶものは利休さまのようでなくてはならぬ、利休さまのようではならぬ。

織部さまのようでなくてはならぬし、織部さまのようではならぬ。」

【肩衝】

初花肩衝、新田肩衝、櫟柴肩衝、万代屋肩衝。

本能寺の焼け跡から掘り出された背高肩衝。

【投頭巾】

茶入れ、楢柴と投頭巾。

秀忠が選んだのは投頭巾。何故?

【此世】

小さな壺を香炉に見立て利休が此世と名付けた。

【雨雲】

本阿弥光悦が焼いた楽茶碗『雨雲』。

【夢】

金地院崇伝と沢庵の生き方。

【泪】

利休が最後の茶会で用いて古田織部に与えた手作りの茶杓『泪』

【埋火】

灰被天目と茶杓埋火。

藤堂高虎と後水尾天皇、お与津御寮人

【桜散るの文】

伊達政宗が催した茶会、床の間の掛物は定家の『桜散之文』

重篤の病を得ていた政宗は茶会の後間もなく亡くなる。

【忘筌】

八条の宮の桂離宮の庭園を作り上げる。

逝去後、小堀遠州は大徳寺孤篷庵に葬られた。

 

………………

深すぎて怖い茶の心。

小堀遠州は「ともに命を慈しみ、生きようとする心」を念じて茶を点てるという。

小説の中の東福門院和子や御与津御寮人が優しく聡明な女性で幸せな境遇で終わったのが嬉しい。

 

テレビ番組で茶道上田宗箇流を訪ねた葉室麟氏、意外と普通のおじ様。

靴下で庭下駄を履いて茶庭の露地を歩く。

ちょっと歩きにくそうでした。

偉そうな作家先生より好感。

 

寒いから土鍋で古奈屋のカレーうどん(冷凍)。

美味しい 楽しい ラーメン るんるん

あめ雨の日は気圧も低いのか、香を焚いてみたけど煙が低く流れるあめ

お日様が恋しいな。

 

 


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