「達陀を見る」
久しぶりの奈良の旅、東大寺二月堂のお水取りに行ってきました。
今回の目的は達陀と呼ばれる内陣の火の行法。
登楼の松明が始まると終わるまで入れないので、お茶所(おちゃしょ)でのり巻きとお稲荷さんを食べて腹ごしらえして待機。
下の人たちが上がってくる前に、正面の局に行ったら一番前に座れました。
局は外陣を格子で隔てた拝観用の小部屋です。
6時半頃からお経やお声明が唱えられます。
延々といつまでも続きますが、テンポの速いお経、童謡のような優しいお経、ボルガの舟歌みたいな低音のお経、掛け合いのお経、時々シャウト(?)も入る。
たくさんのほら貝の合奏も迫力。
お経のソロ(?)の声はオペラのように麗しく聞き惚れました。
山伏姿の堂童子が内陣と外陣の間の薄幕を捩じりあげて開く技も見事です。
宗教は芸術を発展させる、戦争は科学を発展させる。
音楽も芸術、元は神仏に捧げるためのもの。
激しい五体投地の音が鳴り響く。差懸という木の沓でバタバタと走り回る。
火天水天が巨大な松明を堂の中で火の粉が飛び散るのもかまわずにぶん回して踊る。
深夜12時頃まで格子にへばりついてみた行法は、どんなショーもかなわない凄い迫力でした。
その他にも練行衆のお坊様たちは一か月近く昼夜を問わず厳しい行法を行います。
すごいです。
水取りや 籠もりの僧の沓の音 (芭蕉)
藤間流の舞踊『達陀』では、僧集慶が過去帳を読み上げると女人禁制の堂に青い衣を被った女性が現れます。
女性は集慶が出家する前の恋人若狭の前、「なにとて我が名を呼びたまわぬ」とまとわりつきます。
煩悩を打ち払って「青衣(しょうえ)の女人」と唱えると女性は悲しそうに消えていきます。
実際に二月堂の過去帳には聖武天皇や行基、重源などの高僧、頼朝等の中に混じって「青衣の女人」と書かれているそうです。
厳しい法会の中のほのかなロマンです。
- 2018.03.15 Thursday
- 旅
- 12:47
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しかし韃靼を見るために約7時間もあの座敷牢のような中で、、、根性あるなぁ。
ブーフーウーの母さまを見習って次回は根性入れ直して頑張ります!